「と言うわけでここがいま空いてる部屋なんだよね。」
え、おばちゃん・・・どういうわけで?
あれだよあれ、最近記憶は飛び飛びになる。
なんで私古めのアパートの一室に紹介されてるのかまず知りたい?
教えてくれるなら精一杯媚った眼で一瞬だけ見てあげるからさ。
要らないって返されるだけだけど。
「アンタも大変だね、記憶喪失な上に病院に空きベットがないなんて。」
「ばーさん、その子が愕いてるよ。」
「あらら、ごめんね。」
「・・・・・・」
刑事さん、質問。
ア ン タ の 本 業 な ん で す か ?
刑 事 じ ゃ な い の ?
不動産屋!??
「とりあえず親御さん見付かるまでこの部屋貸すから。大丈夫経費等は署からふんだくってきたからね。」
・・・刑事さん、それは犯罪?
まぁ、いいか野宿しなくて済むんなら。
よしよし、屋根ついてる。
ガス繋がってるしなんだ風呂とトイレつきじゃないですか。
外見古い癖に中は綺麗だし。
(しかもフローリング!!畳みじゃない。)
「そういえばお嬢ちゃん、名前は?」
「・・・・・・なんだっけ?」
なんか久々に言葉を発したような気がするよおばちゃん。
焦げ茶色のマイホームフロア
= = 貴 重 体 験 = =
(ぽつりと紡がれた帰宅の声に返答はない)
(目を少し背けて告げた感謝の言葉に笑顔もなく)
(冷え冷えとした木目に落とした視線はただただ無感情)