「また逢ったな?」
「また逢いましたね。」
もう笑うしかないと、目の前の男は言う。
「どうしたって、こうも逢うんでしょう?」
「さぁ、案外誰かが仕組んでたりして?」
「誰が?」
「誰かが」
これで男と逢ったのは16回目になるな。と頭の中で絶対に狂わないカウンターの数字を読み上げた。
ア ン ト ワ ネ ッ ト の 杯
「これで逢ったのは何回目?」
「16回目。」
「数えてたんですか?」
「まぁ俺の癖なんさ。」
前に逢った時、男は黒いパーカーとGパンを履いていた。
ちなみ靴はナイキの流通に出回りすぎている奴だった。今日のは正装だろか?
「思うに・・・」
「ん?」
「これって誰かの陰謀?」
「誰の?」
「誰かの」
お前もそう思うわけね。
「て事はですよ。お兄さん」
「何です、気色悪い」
「・・・・・・もし、この状況を企んだ奴がいるとして・・・。誰だ?」
「そんなの、僕らを知ってる人でしょ。」
「だよなぁ?」
「うん?」
「じゃあ、俺らを知ってる奴ってのは?」
沈黙。
「・・・・・・つまりな、俺らを知ってるって事はだ。こっちもそいつを知ってるって事なんさ。」
「・・・でしょうね。」
「要はだ、そいつの正体は、俺ら二人が知ってる人間に限られる訳なんさ。」
「・・・・・・・・・」
ああ、そんな面倒臭そうな顔しないの。
「・・・・・・誰知ってる?」
「知ってるって聞かれても、僕は貴方が知ってる人なんか知らないんですよ。」
ああ、ヤヤコシイ。
「て、言うか、一つ良いですか?」
「何さ?」
「今、なんかとっても大切なことを忘れてるような気がするんですが、何か思い出せます?」
「いやいやいや、そっちの大切なことなんて俺知んないし。」
「ですよねぇ、貴方なら知ってるかなぁって思ったんですけどぉ・・・。」
「なに、その考え。」
「いや、なんとなく?」
「アララ。」
「俺も一つ良い?」
「何をです?」
「これから大事な用が合ったはずなのに、思い出せないんさ。」
「それこそ、僕にも知りませんよ。」
「だよなぁ・・・。」
「俺ら、なんでこんなとこにいるんだっけ?」
「えっと・・・・・・・・・ここって・・・・・・、あれ?路地裏?」
「何、分かってなかった?」
「まぁ、僕、迷子の天才ですから。」
「うん、威張ることじゃないね。」
「・・・・・・」
「あれ、どうしよう、本当に思い出せない??」
「っかしいなぁ、俺が思い出せないって、どうなんさ!!」
しばし、顔見合わせ。
「「あああ!!!!!」」
同時に叫んだ。
「「思い出した!!!」」
どこからともなく、サイレンの音。
「そうだよ、俺、依頼受けて、これから仕事じゃん!!!」
「なんで忘れてたんだろ!!!仕事終わって、逃げてる途中だった!!!」
「じゃあ、もしかしなくとも、この先、殺人現場?」
「YES, OF COURSE.」
「んでもって、勿論、同じターゲット?」
「ああ、恐らくそうです。」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
サイレンの音は増すばかり・・・。
「・・・逃げる?」
「何を今更!!!」
「だよなぁ・・・。」
「さっさと逃げないと捕まりますし」
くるりと同じ方向に脚を向ける。
「これで、16戦8勝8敗ですね。」
「ああ、そうさ。16戦8勝8敗。次は俺が貰う。」
「次も僕が頂きます。」
「それではまた、コードネーム『LAVI』?」
「またな、コードネーム『ALLEN』?」
END (08.07.21)