切れる、息。
飛び散る、血痕。
むせ返る、鉄の臭い。

ああ、なんて心地よいのだろう。

 

 

 

 

 

 

ゲーム内容は、
10勝ワンセット。相手よりも早くターゲットを殺すシューティングゲーム。
勿論、ターゲットは相手のターゲットでもなければならない。

報酬は、負けたい相手への命令権。
賭けるものは、己の一生。

 

勝てば良いんさ。
結局ね。

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、血の匂いさ。」
微かに漂う血なまぐさい鉄の匂い。これがターゲットのものならばどんなにいいのだろう。

「風向きは南南東から北北西。強風は2mってとこかな?距離は756m。」
微かに揺れる自分の髪先。

「俺のMAXは、大体800、さて、どうするか。」
俺の視界を遮るものは、柱のように立つ石4本。目前に広がる建物。
場所は、絶好の風下。俺にとってはこれ以上ない好条件。


「さて、さて、白猫ちゃんと溝鼠はどこかなぁ?」
黒光りするそれを構え、取り付けられたスコープで、風上を見渡す。

 

 

 

「ああ、みっけ。」
スコープの端に写った小さな白い物体。間違いない。『ALLEN』だ。
時刻は21:58。溝鼠は、そうとう傷つけられているらしい。

 

 

「『ALLEN』俺のモットウは騒がず焦らず、クールにスマートに。それでいて、少量の体力で確実に。なんさ。」

 

 

21:59

『この世のお別れはすみましたか?』
『まっ、待ってくれっ!!!!』
『そうは、行きません。こっちも仕事ですからね。』
小さく動くALLENの口から漏れる言葉。
泣き叫ぶ声が聞こえるほど切羽詰った醜い声。

絶好の狩り場。


『さような【ゴーンッ ゴーンッ!!!!】・・・・・・』

 

 

 

 

『・・・・・・・・・・・・』
「・・・まだまだ修行が甘いね。」
指先を戻し、ライフルから取り外したスコープで、ALLENの姿を捉える。
キョロキョロと周りを見始めるALLEN。その足元には額を綺麗に打ち抜かれた元ターゲット。

 

『・・・・・・・・・LAVI・・・』
「やっほー、ALLEN?」
『・・・これは貴方ですか?』
「そのとーり。」
相手もコンパクト化された一眼の望遠鏡を取り出し、どうやらこちらに気付いたらしい。

『今まで、貴方とは、19回合って来ましてけど。』
「そうさね。」
『貴方が、射撃したのは始めてみましたよ。』
「ああ、その通りだ。」




『今まで、手加減してたってことですか?』
「もともと俺はこっちの方が得意なんさ。」
軽く、手のライフルを上に上げれば、ALLENの顔が歪む。読唇術も心得ているらしい。

 

 

 

『僕、まんまと嵌められたようですね。』
「勝負事には全力で取り組む性質なんさ。」
『素敵な性格ですね。』
「そりゃどうも。」

 

 

 

『で、ラビ。命令はなんです?』
「明日、いつもの時間に学校で。」
『それが命令?』
「を、言うから。」
『・・・・・・』
「考える時間くらいくれたって罰は当たらないさ。」
『・・・・・・分かりましたよ。』
「OK,なら、またな。」
『・・・ええ、また。』

 

 

 

 

 

 

 

『また、会いましょう。"LAVI"』
「またな、"ALLEN"」

 

 

一つ、分かったことがある。
結局のところ、俺もALLENも快楽主義者なんだ。


きっと、そう。

 

END (08.07.22)