俺の記憶の中で、彼は何時までも、何時までも泣いていた。
泣く寸前の顔が、俺の知る彼の最後の表情。

 

 

 

GO TO HOME.

 

 

 

彼に会ったのは、もう何年前になるだろう。
『何年』だなんてそんな有耶無耶なはぐらし方、俺には似合わないな。
そうアレは、今から8年前の冬。
雪が降りそうで降らない、鈍よりとした曇り空。
俺はその空を見て、思わず舌打ちをするくらい気持ち悪い『ソラ』だった。


『・・・』


「  何?そいつ。」
「ラビさん。」 年の同じ頃の少年は俺を見てそう呟いた。
呟くと同時に少年は一歩左にずれる。
少年の影に隠れていた物体が露になり、周りに居たスラムのキッド達が驚愕の表情を浮かべる。

物体=その白い塊=白い人間は、蹲ったままぴくりとも動こうとしない。
よく見れば微かに震えている。
怯えているのか寒さに打ちひしがれているのか。
俺にはどうでも良かったけれど。

当時、俺の眼や表情を見た大人達はこぞって、『可愛げの無い子供』と称して居た。
彼等にとって可愛げのある子供とはどんな者だったんだろう?
愛想を振り撒く?
屈託の無い笑顔を浮かべる?
俺にはどっちも無理だっただろう。

何処かで拾った包帯と、切る事を忘れた前髪が、俺の半面を隠し、残った片方の眼は、大人ですら寒気を覚える程、冷たく覇気も生気も無い眼をしていた。
それを直そうと思ったことはない。
何せその『眼』のおかげで、俺は大人達に食い物にされる事も無い、スラム街で育った子供達の集まりの中では『リーダー』とも呼ばれている。
ほら、ガキって戦隊者だとか、グループだとかマフィアだとか、とにかく群れをなす物が好きだっただろ?
例え俺等がスラムに居たとしても結局俺等はガキだったんだ。
そういうのに憧れもあったし、何より大勢居れば孤独感は無かったからだろう。
悪さばかりしても連帯感は生まれ、罪悪感なんてモノは既に持っていなかった時代だ。
俺はそういうものに憧れることはなかったが、それでもガキのリーダーなんてものをやっていれば何かと便利だった。


だから回りにいる奴らは俺の名前、『ラビ』にさんを付けて呼ぶ。
大人の真似をしているのか、それとも本能でそう呼んでいるのか、それを確かめる術は俺にはなかったけど。


「何?」
呆けて居る奴に再度尋ねれば、少年ははっとして、白い人間と俺の顔を行ったり来たりさせつつ、おどおどと言葉に出した。


「ずっと、昨日の夜からここにいるんです。多分また捨てられたんじゃ。」

ここのスラム街は通称『スラムの掃溜め』と呼ばれる程、杜撰な街だった。
上流階級のゴミがスラムに行くように、スラムのゴミはこの『スラムの掃溜め』に捨てられる。
つまりもっとも陰険な世界なのだ。この街は。
ここに捨てられる奴らは碌な奴は居ない。

借金のかたに内臓を幾つか持って行かれ、その上でまるで壊れた人形のように捨てられた者。
実の親から虐待を受け、更に無用の者とされ帰ってこないように、と投げ捨てられた者。
全てに絶望し、自ら命を絶とうとして、けれど戸惑いが生まれここに訪れてしまった者。

この街の中で、大人はあらん限りの自由を、子供はあらん限りの悪知恵を、その個人の幸せと引き換えに手に入れる。
大人は自由が手に入れば犯罪を起こし、子供は知恵を手に入れて始めて『悪戯』を繰り返す。
その代価は、普遍の幸せ。


何よりもこのスラムに捨てられる奴は珍しくない。
その理由は先に述べた通り様々。
特に子供は、親の顔も覚えもしないうちにこの生活を強いられる者も少なくない。
現に俺もそうだったように。

「金目のモンは?」
「持ってません。身に着けてる服くらいと、後はこの手袋。」
「ババアかジジイか、どっちか確かめろ。」
「ハイ。」


白いと形容した通り、彼は白かった。
着ていた物、覗く素肌、そして髪質全てが真っ白だった。
綺麗だとも思った、異端だとも思った、不快だと思った。
普通なら在り得る事の無い髪質。
彼はこれの所為で捨てられたのだろうか。
その時の俺は、まだ彼は年老いた老人だとしか思って居なかったのだ。

「ラビ、さん。」
「・・・」
「こいつ、ガキです!!!」
「っ、マジかよ。」

ゴロンと仰向けにされた彼の顔は、幼い子供の顔だった。
しかも自分よりも数年若い。

「どうします?」
「意識は?」
「ありません、けど、息はしてます。」
「・・・しょうがない、連れてくさ。」
「はい。」

このまま放っては置けなかった。
こんな処に無防備に置かれていれば、腐った大人達の良い玩具だ。
そうして命を落としていった仲間は何人も居る。
そうして失った仲間の顔全てを“覚えている”。
そして彼の顔も覚えてしまった。



「   、  っ 。」
「起きたさ?」

「  っっ!!!」

彼が眼を覚まして、俺は驚いた。
髪と同種のような銀灰色の瞳。
無邪気に寝惚けている様はとても可愛らしかった。
「っ  ・・・」
「お前、ここが何処か分かるか?」
「     」
フルフルと彼は頭の動きで答えた。
妙な違和感。
感じない方がおかしかっただろう。

「、喋れねぇの?」
「    」
コクリ。

予感は的中した。
ボディランゲージのみで表すその『言葉』。
彼は不安そうに、けれどしっかりと俺の問いに答える。

「ここはスラム。スラムの成れの果てさ。お前、親は居る?」
『居ない。』

「どうやって此処に来た?」
『分からない。』

「 、何か覚えているの事は?」
『・・・無い。』

やはり言葉が喋れないのには限界がある。
動作で表せるのは『YES』と『NO』のみ。
それ以外は難しい。
大した情報が得られたわけでもない。

「・・・お前、自分の名前、覚えてるさ?」
『・・・うん。』

「喋れなくなる前に、喋ってた?」
『うん。』
となるとショックで声が出なくなったのだろうか、この手の者は時間を置けば元に戻れる奴も居れば一生の奴も居る。

「字は?」
『うん。』

「書けるなら下に名前書いて。呼びづらい。」
『   』
少年は一瞬戸惑った後、悴んで赤くなった右人差し指で『A』『L』『L』『E』『N』と、そう記した。
そしてそのまま、『You』『are』『name』『?』と続けて書いた。
それが面白く、わざわざ彼に見えるように逆さまに『L』『A』『V』『I』と書いてやる。

『・・・ラビ。』
彼は口の動きだけでそう紡いで見せた。
嬉しそうに、このスラムでは見たことも無いような笑顔で、彼はそう何度も俺の名を呼んだ。

 

 

『ラビ。』
「何?アレン。」
アレから益々寒くなる一方、俺達の間で笑顔が絶えなくなる。
彼が現れてからそう経たない内に、皆アレンを受け入れその笑顔に感化され笑顔を見せていった。
グイグイと俺の服を引っ張り、『ラビ』と俺の名前を呼ぶ。
嬉しそうに俺の後についてくるアレン。

『どこ行くの?』
彼と俺との間に、もう筆談での会話は無かった。
俺は短い間で口の動きだけを見て彼の言葉を読む、所謂読唇術を会得した。
慣れてしまったのかもしれない、受け入れてしまったのかもしれない。
気付けば俺は笑うようになった。
ぎこちないなくともしっかりとアレンの目を見てその顔で、表情で感情を表せられるようになった。

「散歩。」
『僕も行きたい。』
「良いよ。」
変わったと、仲間内で誰からも言われるようになった。
誰も寄せ付けない俺が、アレンには笑顔で近寄ることを許可していると。
気付けば特別だったんだろう。
アレンが。
けれどそんなことがしっかりと理解できる年齢でもなかったのかもしれない。
否、表面だけの理解だったのかもしれない。
『好き』だとか『嫌い』だとかそんな感情を知らなかったし、知る術も無かった。
だけどアレンに会ってそれも変わった。
それはもう、眼に見えて。


『寒いね。』
「うん。」
『雪、降るかな?』
「降ったら皆で遊ぶか?」
『楽しそう!!』
「楽しそうさね。」
彼は純粋だった。
何者よりも無垢な存在だった。
作り物でもなく彼だからこそ、神は彼に『白い心』を渡したかのように。


「・・・っ・・・。」
『ラビ?』
「アレン、悪ぃけど、先戻ってて?」
『・・・?うん。』
「直ぐ戻るから。」
『早くね!!』
「うん。」

純粋な存在とずっと一緒に居たいだなんて、何て愚かな願いだったんだろう。
当時俺はその思いが“恋”とは知らず、そう願っていた。
けれど、始めから無理だったのだろう。
期限付きの生活。
限定された世界の中で、何かを願うことほど愚かなことは無かったんだ。


「・・・何の用さ。」
「まだ、ここに固執しておったか。」
「へ、パンダジジィまだ生きてたんか。」

クルリと振り返れば、其処には黒いコートを身に纏った同じくらいの背の老人。
眼の周りはメイクだろう。
眼にできる隈を隠していたのかもしれない。と今は思う。


「何時まで我儘を通す気だ?」
「・・・何時までも?」
「聞き分けの無い餓鬼ではあるまい。」
「俺はガキだよ。」
「屁理屈が。」
「屁理屈で結構。俺はまだアンタの元には行けない。」

老人は『世界』から『ブックマン』と呼ばれていた。
昔、俺がアレンに会うほんの数ヶ月前。
老人は俺の前に現れこう告げた。


『スラムに、記憶力がずば抜けているという小僧が居ると聞いたが、おぬしのことか?』
否定しようがなかった。
確かに俺は当時から、いやもっと昔から覚えた事はけして忘れなかった。
一秒一秒の事細かな事柄も総て脳に記憶されていた。
だからと言って、それが今まで役立ったことは皆無に等しかった。
死んだ仲間の顔を覚えていたり、過去に見かけた凶悪な奴らの顔を記憶したりする程度だっただろう。


『おぬし、この生活から抜け出したくはないか?』
スラムのガキ共にとってそれほど心揺さぶられる言葉はなかっただろう。
この地獄のような世界で生きていくには限界がある。
抜け出せるなら、と俺でも幾度と無く願い、こんな処に自分を捨てた名も無き人間の幻影を呪った。


『俺に何させる気さ。』
『わしの継承者となれ。』
『・・・継承者?』
『わしの変わりに世界を見渡す存在となれ。』
『・・・・・・』
正直言えば、世界なんてどうでも良かったんだろう。
ただこの世界から抜けられる。
それが嬉しかった。だけど・・・。


『仲間は放っとけない』
『・・・なら時間をやる。今一度問う時、答え聞かせて貰おう。』
そう言って、老人は姿を消した。



「答えは出たか。」
「・・・・・」
「お主程の素質在るものは他に居ない。」
「嬉しいんだけどさ・・・。」
「断るか?」
「 いや、俺だって此処を出たい。」
「・・・」


「春になるまで待ってくれ。」
「春?」
「そう、春。仲間が自分達で軌道に乗るまでは・・俺をあいつらから引き剥がさないで。」
「・・・仲間が大事か。」
「当たり前さ、ずっと生きて来た奴らだ。」
「ならば待とう。だが約束は守れ。」
「分かってる。」
老人は諦めたように告げた。

「そう言えば名前を聞いていなかったな。」
「・・・ラビ。」
「・・・ラビ。これは忠告だ。」
「・・・?」



「仲間が大事だと言うなら、傍に居れ、そして、『黒の教団』に見つからぬように。」
「・・・『黒の教団』?」
「前に置いていった本は読んだか?」
「・・・あれか・・・。」
老人が去った後に残された一冊の本。
確かあれは興味本位に読んだ。
中身はオカルトじみた話ばかりだったが。

「その中に『イノセンス』の供述があっただろう。」
「・・・ああ。」
「お主の持っている槌がそうだ。」
「!」
アクマだかなんだか知らないがそれを壊すための武器『イノセンス』で作られし『対アクマ武器』。
俺の持っていた槌はスラムで拾ったものだった。
仲間が拾ったものは全て俺の元に集まる。
だからだろう。
どこか神聖じみてみえたこの槌を俺が持ってしまったのは。
売ろうと思った物を売らずに居たのは。

「それを持っていれば何時か『黒の教団』がやってくるだろう。そうなればお主は強制的に連れて行かれる。何せお主はそのイノセンスの適合者だからだ。そうして家族と離れ離れになった少女をわしは知っておる。」
「・・・・・・」
「仲間と居たいと言うならそれをひた隠せ。だが捨てるな。それは何れ必要になるだろう。」
「・・・今直ぐ捨てたいくらいさ。」
「そうしてもう一つ、この黒の教団から逃げ出した者が居る。」
「・・・」
「詳しくは知らないが身体の何処かに十字架が埋まっている。もし見つけたなら・・・。いや良い。ではまた会おうラビ。それまで生きておれ。」
「・・・っ・・・」

そして老人は姿を消した。



『どうしたんです?ラビ?』
「え、・・・。」
『元気ない。』
「・・・そんなことねぇよ。」

今だ俺の頭の中は老人の言葉が反芻していた。
『イノセンス』『黒の教団』『十字架』『脱走者』。
最後に述べた黒の教団からの脱走者。
俺はそいつの特徴に心当たりが在った。
いわずとも、目の前の彼だ。
包帯で巻かれ分厚い服の下になっている左腕。
一度包帯を巻いてやるときに眼にした黒い十字架と異質な赤黒い肌。
その時は驚きはしたもののだからと言ってアレンを差別したりはしていない。

「アレン、今日は一緒に寝る?」
『良いの?』
「寒いし。」
『うん。』
もしアレンが脱走者だとすれば、彼はどうして喋れなくなってしまった?
何か教団側にされたのだろうか。



『家族と引き剥がされた少女。』
老人は確かにそう言った。
『イノセンス』の為に教団が家族と強制的に引き剥がしているのだとすれば、アレンもまた。


『ラビ?』
「・・・アレン。俺、お前のこと好きだよ。」
『・・・え?』
「・・・だから守ってやるから。」
理解できなかっただろう。
一方的な誓いだった。
それでも良かったのかもしれない。
アレンを守ってやれるなら。

 

 

 

平和なんて、ただの偽者でしかなかっただろう。
今も昔から。
幸せなんてもの、始めから存在すらしていなかった。

「くそっ・・・!!!」
あの老人から貰った本に書かれた『アクマ』と言う存在。
こんなスラム街でまさか見られるとは思っても見なかった。



『ゥワァァァァアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!』
遠くで聞こえる悲鳴に、俺は駆け出す。
遠くで食料を集めていた仲間達の声だ。

「なんだよ、これ!!!」
生きた臭いのしない人型の『人形』は一転醜いボール型になる。
腹の中から現れる銃器は徐に仲間に狙いを定めていた。

『・・・アクマッ!!!』

それはほんの偶然だった。
アレンの存在を確認しようと彼のほうを向いたとき、彼はその口でそう答えた。
これで確信せざるを得なかった。
彼はアクマの存在を知っている。


「・・・アレン。」
『っ・・・・。いや・・・。』
「・・・くそ・・・。」
アレンの手を引いて、奥へ奥へと走り出す。
仲間もそれぞれバラバラに逃げ出しただろう。
あれだけ大きな図体でこの細い道はそう簡単に入ってこれやしない。


「アレン、良く聞け。」
『・・・ラビ?』
「俺はお前が、『黒の教団』の脱走者だって知ってる。」
『っ・・・どうして・・・。』
「俺も似たようなもんさ。とにかく、お前は逃げろ。教団なんて行かなくて良い。好きに生きろ。このまま後ろの道行けば地下に行く道があるんさ。それを伝って遠くへ。」


『・・・ラビ・・・。』
「俺は一緒には行けない。お前だけでも生きろ。・・・ごめん守ってやれなくて。」
『・・・一緒に行こうよ・・・。』
「・・・ごめん。」
『・・・ラビ・・・』
ふえっとアレンの表情が歪む。
初めて見る泣き出しそうな表情だった。


「逃げろ!!!逃げろ、逃げろ、逃げろ、ニゲロ。捕まらない処まで。逃げて逃げて、・・・そして生きてまた会おう。探してみせるから。」
『・・・やだよ。』
「バイバイ、アレン。」
「ラビ!!!!」

やっと聞けた彼の声。
とても綺麗な澄んだ声。
なのに、彼を泣かせてしまった。
ごめん、ごめん。そう何度も謝りながら、俺は彼の背を押す。


「行け!!!!早く!!!!」
待機していただろう数人の仲間が俺の声とともにアレンを引いて奥まで走り去って行く。

「やだ!!!!!ラビッッ!!!!」
悲痛な叫びが響き、そして木霊して消えた。幾度と無く謝り、そしてニッコリと笑って、アレンの方へ

 

 

 

 

 

「愛してる。」

 

 

 

 

 

子供ながらに愛を知ってしまった少年はその場で泣き崩れる。
「・・・ジジィ。」
いるんだろ?か細く呟けば傍の角から出てくる老人。

「予定変わっちまったけど、もう良いさ。俺を連れてって。」
「・・・良いのか?」
「良いさ。連れてけよ、何処にでも。あいつらなら自分でなんとかできるから。」



「後悔はしておらんのだな?」
「そんなもの何時だってしてるさ。けど、どう足掻いたって神様のシナリオには勝てない。だったら乗ってやるよ、その下らないストーリーに。その中で懸命に生きて、あいつを見つけ出す。」
「良い心構えだ。」

「謝々」
「馬鹿者が。」
「どうとでも。」

 

 

 

 

 

「ラビ。」
「            リナリー?」
「珍しいわね、寝てるなんて。具合悪いの?」
「・・・別に。」
「・・・変なラビ。」

「はは、で、何か用?」
「今日新人さんが来るって知ってた?」
「・・・今日?」
「知らなかったみたいね。」
「・・・ジジィの奴黙ってたな。」


うつ伏せていた談話室の机から起き上がり身体を伸ばす。
バキバキと背骨がなる音が聞こえ、肺一杯に空気を吸い吐き出した。

「どんな子?」
「ずっと昔にここをで出てった子なんだって。」
「・・・脱走者?」
「教団の手違いだとかなんとか。多分兄さんの前の室長達がやったのね。」
「・・・・・・」
「どうしたの?」
「なんでもない。」

変なの。と再度呟いてリナリーはそのまま部屋に戻っていった。
誰も居ない談話室。取り残されたように残る自分。
口元に薄らと笑みを浮かべ、眼を瞑り思い出すのは先程夢に出てきたキネマ。
現実と虚像との狭間に置き忘れられてような記憶のフィルム。


「やっぱ、・・・始めは『初めまして』なんかな。」

約束とは違ったけど、漸く会うことが出来たね。
愛しい天使。
あの時果たせなかった約束、今ともに果たそうか。

「愛してるよ、『アレン』。」
「マイ、ラバー エンジェル。」

眼に浮かぶ鈍よりとした雲。あの時と同じ空の下、今度は新たな仲間達と、共に庭を駈けずり回ろうか。
今度こそしっかりと、この耳に残させておくれ、君の紡ぐ同志達への葬送曲を。


END

 

(09.01.18)