話
     喧
       嘩
     は
   
   で
   も
  喰えない

 

あー、くそ、判断を間違えたわ

その日白鷂は顔に笑みを貼り付けたまま呟いた。
勿論声に出すような馬鹿な真似をしてはいない。
いないけれど、


『誰でもいい。とにかく誰でもいいのよ。この際変態写輪眼でも多少の文句で済ませてあげるから、とにかく!!』


この二人っきりと言う状況をどうにかしてください!!
被害者が私だけなんて真っ平御免だわ!!

白鷂は本音を大声でぶちまけたい気分だった。





其も之もそもそもだどうしてこうなかったと言う大元を辿るならそう今は此処に居ない私の目の前にいる上司の主(この場合育ての親でも可)にして私の敬愛する師匠(に当たる人)の所為なのだ何故ってそりゃあの方が私達(主に上司二人)に大量の仕事を残して忽然と逃亡(と言う名の旅行)を図ったのが全ての始まりとなる訳でつまり其の間のあの方の仕事は此方に来る訳で(事前に仕事をしていようとなかろうと仕事は常に増えていく物だ)そして彼を心酔しているこの目の前の上司の機嫌が最悪な事になっていると言う事だって考えるまでも無くあの方の所為(仕業)じゃないの無駄な時間(思考時間)を過ごしたわ(怒りの余り息継ぎ無しだった)


「ハーク、聞いてるか?」
「ええ、聞いてますよ。鴇杜様。」

すいません、現実逃避に駆られたもので。ええ何これは私のせいじゃないんです。全ては狼鵺様のせいです。
なんて言ったらこの上司にスパルタ掛けられるから言わないけれど。いっその事ぶちまけたい。
叫べるんならどれだけストレス発散になるのかな、と考えて白鷂は考えを否定した。
駄目ね、余計な心労が大幅に増えるだけだわ、と。


今日、この日。狼鵺様が逃亡なさってから丁度31日。
つまり一ヶ月が経過した時点で、私・白鷂の上司である鴇杜様の機嫌が地を這い始めた。つまりに最高に機嫌が悪い。
理由?そんなもの判りきっている。普段から(つまり狼鵺様がいる時)ですら狼鵺様至上主義のこの上司。
それはもう一人の上司にも言えることだけれど、鴇杜様はそれを軽く越えていく。
幼い頃から狼鵺様に育てられ共に生きてきた所為もあるんだろうけれど。
まぁ、ともかく『多忙』が原因で機嫌が悪いんじゃのはいつものこと。
まだ新入りの類に入る私だけれども、それでもこうも何度も逃亡を図る度に起こす鴇杜様の癇癪(と呼んでいる)を
抑えられるのは狼鵺様以外だと、実質もう一人の上司である鴻闇様以外にはいないわけで、


「(だからってなんで今日に限っていないのよ!!いつもべったりなのに!!)」


しかし残念なことにその鴻闇様は生憎と留守。
任務を終えて帰って来て見えればこの屋敷にいたのは鴇杜様のみ(朱鶴は何処に行ったんだろうか)、本当に不運だったわ、と呟いたところで時間は戻らない。
こんなことになるんだったら、火影様に報告に行った紫鳶と変われば良かった。後悔してももう遅い。物の見事に生贄となった自分が恨めしい。



「ハーク?」
「あの、鴇杜様?」
「あー?」
「(機嫌最悪、機嫌最悪、機嫌災厄、違う!!極悪!!あーもう!!)鴻闇様は、どうな、さっ、  ――ッ
・・・  鴻闇  ?


あれ?何かしらこの只ならぬチャクラの渦は、
私何か間違ったことをしてしまったのかしら、したのよね、あーもう。
今日は厄日です!!狼鵺様!!!



目の前で胡坐をかく上司を取り巻く空気が目に見えるほどに変わった。比喩なんかじゃない。本当に変わっているのだ。
喩えるなら蜃気楼、熱したフライパンの上、真夏日のアスファルト上、エトセトラ。
ともかく、空気が浪打立ち上るのは水蒸気ではなく研ぎ澄まされ更に研磨されにされた殺気。
私はもう一度冒頭と同じことを繰り返す!!


判断を間違えた!!


後に悔いが残るから後悔なんですね、ええそうでしょうとも。あー!!実家に帰りたい。超特急で帰りたい!!
姑も何もいないが帰りたい。帰って3日くらい引きこもりたい!!(混乱中)


「鴻闇・・・」
「も、申し訳、 あ、りません   あの?鴇杜様?」

「っっっ!!鴻闇のヘタレインポヤロー!!!









「は?」

遠くでカッコーンと、竹筒と岩がぶつかり合った。
あれ?近所に家なんてないですよここ。空耳?ですよねー、空耳ですよねぇ。



「聞きなさい白鷂!!あの鴻闇が、この一ヶ月全く俺に触れてもこないですよ?寧ろ一度もヤッてすらいません。キス止まりです。 分かりますか?キス止まりですよ!?この俺相手にキス止まり!!何ですかそれ!?普通ヤるでしょ!!セックス!! ヤりますよね?ねぇ?この俺が幾ら誘ってもそんな素振りも見せない上に、なんですか幾ら煽ってもおったててすらないんですよ? 鴻闇は不能にでもなったってことですか?それともこの俺に魅力が皆無だとでも!?ってどういうことです?ありえません! 添え膳喰わぬは男の恥でしょ?確かにあいつは中々イきゃーしませんけどね、それにしたってその気すら起こさないってどういうことですか?? ええそうですとも、そうでしょうとも。確かにあんな成りと性格して鴻鵺は性欲は極端に少ないですよ。 今まで俺のあらゆるテク使ってやっとその気にさせるのに相当な時間と体力かかりますよ!!しかも不感症一歩寸前ですよあの人!! やっとここまで俺も楽しめるようになったと思ったら此れですか!!俺の労働力返せって感じですよ。なんですかそれ? マンネリなったら反応すら寂しいんです。それじゃ俺がつまらないでしょ?ねぇ? ですからいつもいつもいつもいつも少しは趣向とか変えて主に楽しんでるのは俺ですが鴻鵺も楽しめるようにしてんですよ。 女装なんて初歩ですよ初歩!!寧ろ最近じゃ女装じゃおったちません。催淫剤盛っても薬利きにくい体質だから更に大変!! さらにサドってきたらもー、何すりゃアンタおったてるんですかってくらいです!それを一時間以内にイかせる俺のテクと根性褒めて欲しいくらいです!! 初めてあいつをイかせた時の至福さと言ったらもう、これ以上の悦びはありません!!いいですか!? 無駄の無い筋肉と良い長い手足、男の癖に少し白い肌なんかまるで上質な絹です。二の腕に付くあの硬いけれど気持ちの良い筋肉もそれに続く肩や鎖骨、 わき腹、胸筋も当に芸術!!その奥に湧く赤々しいまでの血と心筋の鼓動の音!!感じ始めて漸く流れ落ちてくれる汗、 筋肉の溝を伝うときのあの光景と言ったらもう、名工の大吟醸なんて目じゃなりません!!感じ入った時の熱の篭った声で俺の名前を呼ぶんですよ? あの美声を聞いただけで腰砕けです!!分かります?汗で湿った髪を掻き揚げた時の人間離れした美しさ。 ダークジュエルを思わせる意思の強い黒曜石のような瞳。どれをとっても完璧です、その完璧な鴻闇が俺の中で俺を喰らい尽くそうするんですよ、 何たる至福!!・・・  て、あれ?白鷂?」







あー、つまりなんですか?
貴方は抱いてくれない鴻闇様に切れてたんですね?そうなんですね?
それって欲求不満って奴ですよね?そうですよね?
しかも最後話がずれてってますよ、思いっきり。
もう勝手にしてほいです。してください。


白鷂は気配を完全に消して屋敷を出て行く。
語るに夢中になっている鴇杜様はそのまま放置するとして、途中で朱鶴と紫鳶を拾い実家に逃げようと意思を決めた。


「狼鵺様、速く戻ってきてください、頼みますから、本当に・・・」

あのままでは鴇杜様が裏表関係なく、鴻闇様に迫るのは目に見ていじゃの、と私は呟いた。
寧ろ下手すれば表のときに白昼堂々と道の往来でやっていそうで怖いとすら思った。


「教えて上げた方が良いのかしら?」
それもなんだか釈然としない、と私は唸る。見てしまったのだ。
延々と語る鴇杜様の後ろで、鴇杜様の話を酒の肴に酌をしながら悠々と通り過ぎていく狼鵺様を。
ああ、いたんですか。と遠い目をしてしまったが、そうですよね、よく考えれば分かりますよね。


狼鵺様、鴻闇様と同じくらいの面倒くさがりですもんね。
そりゃ、酒のないとこよりは勝手知ったる我が家で隠匿生活してたほうがいいですよね。

(ど、どうした白鷂、)
(今家に帰ると大変よ、紫鳶)
(は?)
(と言うわけで私と一緒に実家に帰りましょう)
(おい、説明してくれ!!)

(09.05.10)

さて大変、うちのナルト君は
誘い受けでした。違う、襲い受け。
ちなみに、感極まってくると敬語になるナルトさん。