言葉にしなければ伝えられない気持ち
「お帰り、シカ」
「なんだ帰ってたのかよ。」
ただいま、玄関先で待っていたナルトに言葉を返して靴を脱いだ。
ああ、と思い出して横に抱えていた紙袋をぽんと投げて渡す。
なんだ、これと不思議そうに小首を傾げた。
「母さんからナルへ。」
「ヨシノさん?あ、珈琲豆。」
「は?」
ほら、と紙袋の中から見せた特徴的なマークの入った包み。
確かに実家で母親が愛用しているメーカーのだろう。
「だってシカは煎茶派だし。」
「ナルは珈琲だよな。つーか、豆から挽くのか?」
「うん。挽きたてが一番美味しいんだよ。飲む?」
「あー・・・仕事ん時でいーやー。夜な夜。」
それよりシャワー浴びてくる。
告げた瞬間ナルトの動きがびたりと止まった。
浴室へと足を進めていた俺は不思議に思い振り返る。
ぶつぶつと暗い雰囲気を纏い、ゆらりと背中に背負うのは立ち込めるどす黒い、・・・殺気、か?
「ナル?」
「せっかく、俺気付かないようにしてたのに・・・」
「・・・は?」
うっすらと滲むのは涙。
ああ、と納得すればスイッチがONになったのか、怒り頂点になったナルト。
「、シカっ!」
「これ、親父の新作。」
「・・・は?」
意気込んでいた気迫を根こそぎ奪われたような表情でまたもや固まった。
「新作の薬香な。匂いが移ったんだろ。」
「・・・ホント?」
「何、嫉妬?」
「・・・、だってシカは香水なんてつけないし、シカの取り巻きは匂いきっついじゃん・・・」
「それで?」
「だから!!誰かと今まで一緒にいたのか、って・・・だから・・・嫉妬、しました。」
「・・・、」
「シカ?」
「あー、くそ!!」
「?」
ナルトは知らない。
親父の作った薬香の効力として、『自白作用』がある、だなんて・・・ねぇ?
知られたら後が恐いな、と思いつつ。
にやける頬をどうにかするほうが先決らしいことを悟った。
結局バレちまったけど、実は催淫作用もあったりなんかした、って言ったら。
口、聞いてくれないかもしんねぇな。さて、どーすっか、
大体、これもあれも全部親父のせいじゃねぇか。俺ぁ被害者だ、つーの。
大手薬品会社社長子息のシカマル。
新薬の実験台にされた模様。
(依頼主は誰だ?)