Q,泣いたときのことを覚えていますか?
A,一度だけ、覚えています。
一番真新しい記憶はいったいいつのものか、
泣いたことのない自分にとって、
それはとても答えがたい質問だった。
でも・・・
一度だけ、たった一度だけ覚えているものがある。
『残念ですが、君の足は、もう――――』
親の死で泣いたことのない自分。
恐怖で泣いたことのない自分。
試合で負けても泣いたことがなかった自分。
眼を瞑れば、今でも思い出せるあのときの情景。
白い白衣を着た年の過ぎたその医者は、どこか事務的な言葉を吐き捨てた。
『――――そんな・・・』
ああ、姉が泣いていた。
どうして自分でなく、姉が泣かなければならないのか、と・・・
どこか他人事のように感じる冷たい自分の心。
『どうにか、・・・・・・どうにかならないんですか!!??この子は、サッカーが好きで!!!』
泣かないでいいよ、お姉ちゃん。
泣かないで、お姉ちゃん。
| どうして貴方が泣いてるの?どうして私が泣かないの? | どうして?? |
| ワタシハシズカニメヲトジタ | 振り続けるのは赤い雨 |
| ハレワタルソラニアメガフル | 一粒の小さな小さな雨粒 |
| クライクライバショノソコヘ | 私は静かに堕ちて逝く |
私 を 縛 る 鎖 は 、
ど う し て
外 れ て く れ な い の だ ろ う