三上、12年生きてきて始めて『お呼び出し』なるものに呼ばれました。(ちょっと違うよちゃん)
子猫が起こす嵐の再来
「何、これ・・・」
『三上さんへ 中庭に来てください。お話があります。』
さてサッカー部に挨拶に行こうかとが下駄箱を開けるとローファーの上に置かれたメモ用紙。ラブレターなんても色気のあるもんじゃない。何この読みにくい丸文字は。日本語くらいしっかりかっきり書きなさい。と少し違うことを思いつつ、はメモ用紙を無視してローファーを取る。その時ちょうどメモ用紙が地面に落ちるのだがちゃん明らかにわざと無視してます。さすがつわもの。呼び出されてそれを無視する子なんてそうそう居ない。しかもしっかりふんでいく始末。ちゃん、わざとらしすぎますよ。
ちなみにを呼び出したのは、噂巡って巡って聞こえてきたの言葉にカチンと来た女子バレー部部員の女子生徒3年生。またの名を『三上亮ファンクラブ名誉会員会長』
いやわけ分かんないよ、名誉会員なんだか会長なんだかどっちなんですか?ちなみに姉妹FCとして『渋沢克朗』『藤代誠二』『笠井竹巳』も存在するが、今はどうだって良いことです。(つーかそれぞれに名誉会員会長って言うのが存在するんだろうか・・・)
話を戻しますが、はそんなことまったく全然知る由もなかった。って言うか知りたいとも思ってなかった。(だってどうだって良い情報だし)彼女のモットーは「好意には好意を、悪意には再起不能なほどの悪意と呪いを」です。(怖ッ・・・)
「亮〜、来たよ〜。」
まぁともかくそんなことはどうでも良い(つーかぶっちゃければ見たことすらも既に記憶してない)。(彼女の中であの呼び出しは既に無いものと同じだった)は女子正門から正反対にある男子正門へと急ぐ。ローファーは走り辛いな、スニーカーのほうが蹴り易いのに。(・・・何を?)ボールをね。(・・・ああ、)
話は通ってるらしくすんなりと事務員をやり過ごし、はサッカー部へ。丁度見えた三上に聞こえるほど大きな声を上げながら両手を降った。(見学者達が勢いよくちゃんを睨んでるけど彼女は気付いてません。・・・気付こうともしないの間違いでした。)
「入って来い。監督に挨拶しろ。」
「はーい。」
失礼しまーす、と一応礼儀正しく挨拶しては中へと入ってく。見学者の専らの話題はのことについてだ。
「あの子、誰?」
「確か一年に転入してきた三上さんの妹さん。」
「ああ、友達はいらないって言った子・・・」
「ちょっと生意気じゃない?三上さんの妹だからって。」
確かに情報は駆け巡りましたが、凄いですねその情報網。それと一応注意しておきますが、三上さんの妹なんだから、俺様なのは当然でしょ?(何言ってんだ、おい。)
「渋沢から話は聞いた。」
「初めまして、三上です。本日付で1年2組に転入してきました。」
「マネージャーになりたいそうだな。マネージャー経験は?」
「正式にはありません。けどアメリカに居たとき、地域クラブのほうに所属してました。」
「ほう、地域クラブにか。」
「ええ、女子部ではありますが、そこは自分達でマネージメントをするので仕事は理解してます。」
その言葉に笠井たちが驚く。地域クラブに所属していたのがかなり驚いたようだ。話をしてなかったからか・・・。
「良かろう、何か他に言うことはあるか?」
「・・・・・・えっと、自宅通学なので朝練のほうには出れないと思います。あ、昼練と放課後はきっちり出ますので。」
「そうか・・・。よし一週間ほど様子を見る。今日はどうする?」
「父に報告してなかったので今日は帰らせていただきたいのですが?」
「分かった。分からないことがあれば渋沢に聞け。明日の昼からだ。」
「はい。ありがとうございます。」
それだけ言って桐原はその場から離れていった。ふぅっと疲れたようにが息を吐くと、コンッと(音からして明らかに手加減して)頭を叩かれる。「アキ兄?」と上を見上げると笑っている三上の顔が見えた。しかも第一声はこうだ。「お前のしおらしい姿久々に見た。」・・・ちょっと失礼だよ三上君。ちゃんだって目上の人には礼儀正しいんだよ。多分・・・。
「今日は帰んのか?」
「うん、パパ今日は早く帰ってくるから。」
「チャリは?」
「事務員さんが預かってくれてる。」
「気をつけて帰れよ?」
「はーい。」
微笑ましく感じるのはごく一部。滅多に見れない優しげな三上の表情にサッカー部一軍がうろたえる。そして女子は写メる。あらら・・・やることはやってるのね、お嬢さん方・・・。
「あれって、君?なんで女子の制服?」
「中西、あれちゃん。女の子。」
『マジ?』
「「マジ。」」
中西、根岸、等々1年のレギュラーが本気で驚く。昨日見た君の姿とは明らかに違う。つーか帽子を取ったら美人だったのね。状態だ。今日も今日とて台風から抜け出せないサッカー部、晴れ間はいつだろうね。ホント・・・。
「ここが部室だ。」
「・・・うわぁ・・・」
翌日昼練前、は渋沢に頼み部室を案内してもらった。ちなみに鞄は何故か大きめのスポーツバックだった。
翌日登校してみればあら不思議、は衆人観衆の的でした。遠巻きに「あれが」とか「あの」とか・・・切れて良いですか?と本気では思ったほどだ。教室に入ってもそれは変わらず、昨日突き放したクラスメイトの嫌悪の目といったら、は思わず口元にデビスマにも似た笑みを浮かべてしまうところだった。
そんなこんなで昼休み。メールで三上に部室に来いと言われていたのを思い出し、鞄を持っては席を立つ。つーか場所知らないよ。と思ったのは教室出口に近づいてからだった。まぁ、サッカー部のスペースに行けば誰かしらいるだろと思いは扉に手を掛ける。と、
ガラッ
『三上さんはいるかしら?』
にっこりと派手めの先輩らしき女子が扉を開けたのだ。それにが思ったこと。「背、小さいな〜。」貴女が大きいです。
『何か?』
『・・・貴女が?』
『また亮がらみですか?紹介しませんよ?つーか邪魔です。部活に行けないじゃないですか。怒られるのはこっちなんですよ?』
向こうが何かを言う前にはにっこりと笑って唖然とさせさっさと廊下に出ることに成功した。そしてそこから 全 力 疾 走 ☆逃げるが勝ち。良い言葉vvと思いながらさっさと本棟へ。一々正門からでて向かうのは面倒だからと桐原監督が本棟から行けるように頼んだらしい。
『ま、待ちなさい!!!!』
『どうして待たなきゃならないか分かりませんね〜。それじゃ!!』
スチャリと手を上げて職員室に駆け込む。そこから、「サッカー部マネになりました三上です。昇降口お借りします。」と近くにいた教師に早口に告げてさっさと階段を下りていった。よくもまぁ、パンパンのスポーツバックを担いで走りまわれること。お嬢さん方を呆気なく撒くことに成功した。まだ午後の授業が待ってるけどね。
それはともかく、いざ部室!!へと歩いていくと目の前に見たことのある背。『渋さ〜ん!!』と声を掛ければ渋沢が『ああ、ちゃんか、これから部活か?』と言ってくる。それについでだとばかりに『部室って何処ですか?』と聞き、つれてきてもらったのがここ。ちなみに一軍の部室らしい。
渋沢がドアを開けてびっくり、そこはゴミ溜めでした。なんて言葉がには浮かんだ。いやそこまで酷いわけじゃない。ただちょっとゴミ袋が2,3端に置かれていたり、地面に砂があったり、読みかけの雑誌なんか捨てられてたり。ロッカーからはなんかタオルが出てるし。極めつけはなんだ、あれ?ダンボールの中に見える、ドリンクボトルらしき物体。いやドリンクボトルなんだろうけどさ。明らかにここ数ヶ月使ってねぇーだろあれ。的な具合だ。
その真ん中にある机に座りながら昼食をとっている我が兄と、猫目の笠井君、&犬君。これに混ざる気ですか?渋さん。食ってねぇで掃除しろや!!と叫びそうになったとかならなかったとか。
「お、来たか。」
「渋沢キャプテンと一緒だったんだ〜。」
「さん、お昼食べました?」
3人とも発言は良いからとりあえず心中察してくれ・・・。とばかりにがフリーズ。普段がフリーズさせることはあっても自身がフリーズすることはあまりない。それだけ大変なことが部室に起こっているわけだけど・・・。
「何、これ・・・」
「ああ、その・・・」
唯一察してくれたのはやっぱりと言うか渋さんでした☆ちゃん、返っておいで、ホント。
「ねぇ、アキ兄、猫目の笠井君、犬君」
「「「ん?」」」
「どうしてそんなゴミ溜めの中でご飯が食えるの!!!???」
ありえない!!とが叫ぶ声は校舎にまで届いた。そしてサッカー部には珍しい(今後名物となるであろう)説教が始まった。
「大体ね、こんなゴミを取っとくなんてどうかしてるっしょ!!!折角纏めてあるんだったら捨てに行け!!しかもその中で喚起もせず悠々と飯を食うな!!衛生上ヤバイって!!!あんた等全国区だって自覚ありますか???体調管理くらいしっかりしろ!!掃除くらいしっかりしろ!!!渋さんだけにやらせるな!!返事っ!!」
「「「は、はい・・・」」」
「エアコンなんかあるのがいけないんだ!!窓開けて外の空気も取らないなんて馬鹿げてる!!そりゃあエアコンは良いよ?だけどスポーツマンとしてエアコンは体に悪い!!電気代の無駄!!折角大きな窓あるんだから窓使え窓!!自然の風を取り入れろ!!東京が暑いのは分かるけど大抵いつも外にいるんだから大して変わんないだろ!!今すぐ開けて換気!!!」
「イエッサー!!!」
他にも居たレギュラー面々を巻き込んでによる説教が響き渡る。しかしそれも長くは流石に続けられない。渋沢の「そろそろ部活なんだが・・・」の声に、漸く残っていた昼飯を食べることを許可された面々。そしてちゃっかり一緒に飯を食べる。
「ところであのドリンクボトル・・・いつから使ってないの?」
「いつからでしたっけ?」
「ああ、4月ごろからだな。一度マネージャーを募集したが結局誰も通らなかったから、それ以来だ。」
「いつもはどうしてます?」
「皆それぞれ自販機か水道水だな。」
「ちなみに今日のドリンクは?」
「え、ちゃんが作ってくれんじゃないの?」
「ああ、やっぱ持ってきてなかったか・・・。」
そこでは自分の鞄から十数本の大型ペットボトルを出す。全部スポーツ飲料だ。
「肝心のドリンクボトルがあんなんなんで今日の昼はこれです。」
「持ってきたの?」
「重かった〜・・・」
「すげぇなおい。」
「ちなみにお金は?」
「実は酒屋のタダ券が昨日までだったんで、酒屋でジュース買ってきた。タダ!!」
「良い主婦になりそうだな。」
「放課後はちゃんとドリンク造りますから」と言っては残っていたパンを食べてしまう。それからさっさと片付けた後、は掃除用具場に置いてあったバケツを数個取ってきて動き始める。
「さん、制服でやるの?」
「ジャージ忘れた。まぁ、大丈夫でしょ。」
「そうもいかねぇだろ。これ上に羽織れ。」
「うわっ!!!ジャージ?」
「水避けぐらいにはなんだろ。」
「あー、じゃあ借りる。ありがとアキ兄。」
それじゃちゃっちゃと着替えてくださいね。と言っては外に出て行った。勿論ジャージとバケツを抱えて。ところでバケツは何する気?え、ジュースを冷やすのに使います。(冷蔵庫無いんだね。)あるけど開けるのが怖い・・・。(・・・・・・)
「有能なマネになりそうだな。」
「ですね。」
「楽しみ〜。」
「そこ!!さっさと着替えて出てけ!!」
「「「はい」」」
有能だけど怖いと思うよ?諸君。(その後、彼等と同じように説教されるレギュラー諸君が垣間見れたとか・・・)
**おまけ**
「蛇君、部室内で繁殖させない!!!」
「ああ!!俺のジュリアンヌゥゥゥウウウウ!!!」
「せめて飼うなら部屋にしなさい部屋に!!!」
「止めてちゃん!!俺間宮と同じ部屋!!!!」
「部室が蛇の巣にならないために生贄になりなさい、犬君!!!!大丈夫、きっと寝てる間にパラダイス☆夢のなかだよ!!」
「さり気無く俺食われる????」
「そうとも言う。」
「ちゃん酷い!!!」
「愛しのクラリネットォォォオオオ!!!!」
「蛇君、マムシ酒でも作ってほしいの??こんなにして!!」
「楽器???」
「ちゃん凄いな、蛇を鷲?み。」
「言うな!!実況中継しないでくれ!!近藤!!!」
「先輩、爬虫類駄目でしたね。そういえば。」
「マイ エンジェル サリーナァァアアアアア!!!!」
「「「誰だよ!!!」」」
「蛇君、当分部室立ち入り禁止!!!!」
「平気なの?爬虫類。」
「全然平気v」
「凄いね、」
「可愛いもんじゃん、あんの。」
(08.12.14)