雨が降っていた。
雨雲が誘うあなた
私の癖は変だといわれる。
雨が降ると無性にその雨に当たりたくなる。
携帯とかも置いて、鞄も置いて、真っ暗な雲の下、降り続く雨の身体一杯に受けて、叫ぶ。
「吹っ飛べ雨雲!!」
友人はその様子を見て笑ってる。ああ、またかなんて先生も見て笑う。ちょっとした有名人だ。私は。
「何、やってんの?」
「うぉーう?」
「女らしく叫べ。」
「ありゃ、設楽じゃないっすか。重役出勤お疲れ様。」
「ん。」
屋上に現れたのは、仲間の設楽。なんで仲間かって?屋上で昼飯を食べる仲間です。屋上はサッカー部の連中が来るから滅多なことじゃ人は来ないのに、私は雨の日訪れて、それでナンパされた。飯を食べようって。この設楽に。
雨が降ると屋上に走る。授業中は仕方ないとして休み時間は大抵そう。だから私の鞄の中にはタオルと着替えが入ってる。いや流石に下着は入ってないけどさ。頭から被る大雨の日、設楽はバーカと言ってタオルを投げてきた。なんで屋上にいるの、とか授業中とかの言葉はなく、ただ「ありがとう」と笑い返す。こんなアホみたいな、バカみたいな関係が無駄に好きだといったら、設楽は楽で良いと笑ってくれた。あはは、そーいうとこが大好きなんだよ、設楽。
「なんでは雨が好きなのさ。」
「好きじゃないよ。」
「矛盾女。」
「ぐうたれ男。」
「変人。」
「シタラン。」
「生物?」
「うん。」
好きじゃないよ雨なんて。
好きなのは雨の降り終わった瞬間で、降り続ける雨は、全てを流してくれるじゃん。だから好き。だから、好きなんだよ。
「それ却下。」
「ん〜?シタラン?」
「却下。」
「設楽?」
「却下。」
「・・・・・・兵助?」
「採用。」
「呼べと?」
「。」
「了解です、兵助。」
「ん。」
それにさ、兵助。雨の振った日は、必ずこうして迎えにきてくれるじゃん。タオル持って、風邪引くなよって顔して。だから、好きなんだよ。
「兵助〜。」
「ん〜?」
「デートしましょう☆」
「デパート行きてぇ。」
「了解でーす。」
「荷物持ち宜しく。」
「あーい。」
雨脚が弱まる。ああ、私の叫びは聞こえたか、大空よ。夏だから、もう少しこうしてたらきっと乾くはず。あと一時間はこのままか。私はねっころがって空を眺めた。隣にトンと足音が聞こえて眼を開ければ、兵助が私の顔を覗いていた。
「何〜?」
「好き?」
「好き。」
「何が?」
「シタラン。」
「おい。」
雨雲の避けた青い青い空と、不満そうな兵助の顔。この瞬間が好きなんだよ、兵助。だって君は、いつもこうして会いに来てくれる。それが好き。そんな分かり難い優しさが大好きだよ兵助。
「。」
「はいー?」
「遊びに行くぞ。」
「観覧車がいいです、隊長。」
「臨海公園?」
「水族館あるね。」
「あるな。」
「行こ。」
「オッケー。」
「やった〜!!!」
すっきりとした晴れ模様。ああ、やっぱりこの瞬間が大好きなんだよ兵助。大空が迎えてくれるから。だから雨の後は大好き。
「兵助〜。」
「あ?」
「好き?」
「好き。」
「誰を?」
「。」
「私はシタラン。」
「いい加減それ止めろ。」
「はーい。」
この雨雲が全部消え去ったら、付き合おうと、兵助と賭けをした。
―おまけー
「あのバカップル、どうにかなんねぇ?」
「無理じゃなーい?」
「素でバカップルだよなー、シタランもちゃんも。」
「が幸せそうだから問題なしよ、サッカー部諸君。」
「つうかいい加減付き合っちまえばいいのに。」
「両思いって見てるほうに取ったらとってもウザイ。」
彼等に会話は筒抜けだったらしい。と後日談。
(08.07.12)
(何、このタイトル)(だったら面白いなって話)
(変人)(兵助)
(・・・・・・)(・・・・・・)
((バーカ))