俺の学校には変な女がいる。
雨雲が誘うあなた
雨が降り出すと決まって屋上で雨に当たる馬鹿がいる。携帯も鞄も置いてただ制服の格好で屋上に走ってくる奴。振り続けている雨をその身一身に受けて、決まって叫ぶ。
『吹っ飛べ雨雲!!』
サッカー部の中では有名なこと。同じとこで昼飯取ってれば仲良いし。先生とかもそいつの友人とかも、また馬鹿やってると笑って済ます。そんな奴が俺の学校にはいる。
「何、やってんの?」
「うぉーう?」
「女らしく叫べ。」
「ありゃ、設楽じゃないっすか。重役出勤お疲れ様。」
「ん。」
屋上の扉を開ければ、空を仰ぎ見て雨を受けているの姿。びっしょりと濡れたその姿。いつも見る姿なんて、ちょっと変だろ。しかも女の自覚あるか?こいつ。確か曰く俺とは仲間なんだそうだ。
いつだったか詳しいことは覚えてない。だけどあの日、サッカー部で集まって飯を食っているとき、現れたのはこいつとこいつの友人。手には鞄を持って、それを屋上前の扉のとこに置いて。あの時は雨が降っていたから踊り場で食ってたはずだ。だけどそいつは扉を開けて、そのまま外に出て行ったんだ。馬鹿な奴って思ったけど。
『ごめんね、あの子。雨に打たれるのが好きなのさー。』
友人はそう言って、タオルとか用意している。そして聞こえてきた『吹っ飛べ雨雲!!』なんて声に苦笑いしていた。戻ってきたにタオルを渡して飯をどこで食べようかと相談しているそいつ等に俺は『ここで食えば』と言った。それからだ。
それから、タオルを渡すのは俺の仕事になった。なんでか屋上に行くといるから手に持っていたタオルをバーカと言って投げると、なんで屋上にいるの、とか授業中とかの言葉はなく、ただ「ありがとう」と笑い返えしてくる。
こんなアホみたいな、馬鹿みたいな関係が無駄に好きだと言われたから、俺も同じような意味で楽で良いと笑ってやったら、更に笑う。馬鹿だよお前。だけどそんなとこ気に入ってる。
「なんでは雨が好きなのさ。」
「好きじゃないよ。」
「矛盾女。」
「ぐうたれ男。」
「変人。」
「シタラン。」
「生物?」
「うん。」
どういうことか俺には分からない。
いや分かろうとは思ってないんだけどさ。だけど雨に打たれてまっさらに笑うは綺麗だった。綺麗で神聖で、だけどどこか悲しそう。
「それ却下。」
「ん〜?シタラン?」
「却下。」
「設楽?」
「却下。」
「・・・・・・兵助?」
「採用。」
「呼べと?」
「。」
「了解です、兵助。」
「ん。」
雨が降った日は必ずがいる。それだけで憂鬱な雨が少し好きに慣れる。ああ、重症だな。って思う。風邪引かないといいなって考える。滑って転ぶなよ。とかも考える。全部全部お前のためだって知ったら、どんな風に笑うんだろうな。「ありがとう」と笑う。そんなところが好きなんだよ。
「兵助〜。」
「ん〜?」
「デートしましょう☆」
「デパート行きてぇ。」
「了解でーす。」
「荷物持ち宜しく。」
「あーい。」
雨が上がり始めた。の声が聞こえたのか、青空も見え始める。今は夏。の濡れた制服はきっと直ぐに乾くだろう。寝転んで空を眺め始めたの傍に歩いていく。が眼を開けて俺を見る。
「何〜?」
「好き?」
「好き。」
「何が?」
「したらん。」
「おい。」
忘れるなよ。名前を呼ばせてるのはお前だけだって、分かってる?気付けよ?
雨雲が避け始めたのか太陽が顔を出し始める。背中を指す日光の光。暑いな。どっかで虹がでるかもしれない。今日は夕日が綺麗かもしれない。
「。」
「はいー?」
「遊びに行くぞ。」
「観覧車がいいです、隊長。」
「臨海公園?」
「水族館あるね。」
「あるな。」
「行こ。」
「オッケー。」
「やった〜!!!」
遠くのほうでまだ雨雲はとどまっていたけど、ここはすっかり晴れ上がった。この瞬間が意外と好きなんだよ。
「兵助〜。」
「あ?」
「好き?」
「好き。」
「誰を?」
「。」
「私はシタラン。」
「いい加減それ止めろ。」
「はーい。」
この雨雲が全部消え去ったら、付き合おうと、と賭けをした。
―おまけー
「賭け、俺の勝ちな。」
「え、私でしょ?」
「なんでそーなんだよ。」
「晴れたから。」
「賭け言い出したのは俺だし。」
「シタランの馬鹿。」
「?」
「わー、ごめん!!!!」
「キス一つ。」
「あい。」
『部活中だってのにイチャつくな!!バカップル!!!』
(08.07.12)
(怒られた〜。)(バーカ。)
(いや兵助のせいだし。)(どうだか)
(・・・・・・)(・・・・・・)
((惚れた弱みか。))