「土曜日暇?」
「部活あり。」
「「・・・・・・」」
集中するあなたの目線
「それ、デートの誘いじゃないの?」
「デートならデートって言うよ?兵助は。」
休み時間に、さっきあったことを友人に話したら呆れられた。部活が何よ!!青春らしくデートしてきなさい。って・・・それが時期部長のお言葉ですか?そして何よりデートじゃございません。だって兵助はちゃんと言う。暇?なんて聴いてこない。何曜日遊びに行くぞくらいしか言わない。いや楽で良いんだけどねぇ。
「で、設楽の反応は?」
「ちょっと不機嫌でした。」
「・・・暇って答えるべきなんじゃ?」
「?」
謎も深まる土曜日当日。現在部活の真っ最中☆
「の『会』は相変わらず綺麗だな。」
「ねー、あの真面目面。それのファンがいるって知ってるのかしら。」
「知らないだろ。」
足踏みから胴造り、弓構えて打起し引分ける。後はただ無心で会。乙矢が離れ、弓倒す。
「お見事。」
「・・・・・・見てたんすか、先生。」
的を貫く一本の白矢。射た後は、少々心此処に在らずだからあまり人に見られたくないのに。ああ今まで言わなかったけど私は弓道部。って言っても幽霊部員に近いくらいサボる。週に1,2回出るくらい。それでもここまで上達したのはきっと実家がそういうところだからに他ならないんだけど・・・。
弓道着の正装をして弓を持って的を射る。当たる矢は的の真ん中に。私は狙いを外す確立が低い。それだけ小さい頃からやっているんだけど。
「なんか部員、少なくないっすか?」
「ああ、サッカー部のほうだろ。」
「サッカー部?」
「知らないのか?今日は都大会前の練習試合するんだと。差し詰め親睦試合だろ。」
「・・・そーなんだ・・・」
「〜、見に行きたいんじゃない?」
「っう・・・」
「なんだぁ?ああ、設楽か。噂だぞ、お前等〜。」
「あー、うー〜・・・」
「「(動きが可愛いなぁ・・・)」」
兵助は、どうして土曜日暇かなんて聞いてきたんだろ。なんて考える。見に行きたいな。どうしよう。自惚れかもしれないけど、兵助は私に見に来てほしかったんじゃないか、と思う。勘だけど。
「あと一回やったら休憩入っていいぞ〜。ただし、真ん中な。」
「「!!やった!!!西ちゃん最高☆」」
「お調子者共め。」
心を落ち着かせ、位置に立つ。ただ的を射ることだけを考えて足踏みをした。胴造りをする間も急かしてはいけない。弓構えて的を定める。打起しをする際も目を離さず考えず、ゆっくりと力を込めて引分ける。後はただ無心で会。乙矢が離れ風を切る音。当たるのを待たずに弓倒す。
タンッ――――
道場内に響く心地好い音。的のど真ん中を貫く乙矢。少し力を入れすぎたせいか矢羽の近くまで埋まってしまった。矢、壊れないと良いな。今時竹の矢なんて造り難いんだよ。
「お見事。」
「おっし、休憩!!・・・って、先生?そのビデオはなんざんしょ?」
「確かに残暑だなぁ。」
「親父ギャグはお家でどうぞ?」
「・・・・・・来年の新入生用にちょっと・・・。」
「・・・・・・・・・・・・この狸じじぃめ・・・」
嵌められた。嵌められちゃったよ、兵助。この野郎西山田。
とりあえず休憩を一時間かっぱらって来て、着替えるのも面倒だから(私はたとえ部活でも正装主義)とサンダルを履いてサッカー部に向かう。フフフ、とくと見よ、袴は動き慣れてるのだよ諸君。
「やってるやってる!!」
「おー、サッカーだ。」
サッカー部のフィールドを囲う大きな緑色のフェンスから見える部員達。仲の良い奴等。あ、兵助発見!!
「兵助だ!!」
「おーおー青春してるねぇ。」
ぎゅっとフェンスにしがみ付いて、走る兵助を眼で追う。真っ直ぐにボールを見て、人を見て、ゴールを見て、集中している兵助の姿。ああ、やっぱり好きなんだよ。そういうの。
笛の音が鳴るまで私はその姿を追っていた。
「あれ?」
「同点よ?」
「・・・うん、ありがと。」
「どう致しまして。」
私が兵助しか見ていなかったことがばれてたらしい、結果を教えてくれた友人に感謝だ。親善試合だから延長戦もPKもなしで終わろうという。続きは都大会で、なんて会話も聞こえる。筧君、確か武蔵森とは決勝じゃないと当たらないって言ってなかったかなぁ?
「入らないの?」
「入らないよ。」
サッカーファンと言うより、サッカー部ファンの女子生徒がフェンス入り口で入る入らないの押し問答を繰り返している。それを一瞥しながら、私は中に入ろうとしない。サッカー部とは仲良いから無条件で中に入っているんだけど。それをしない。
「どうして?」
「こっから先は聖域だから。」
「聖域?」
「私達の聖域があの弓道場なら、サッカー部の聖域はここでしょ?」
「・・・そうだけど、罰は当たらないと思うよ?」
「良いんですよー。」
汚してはいけない。彼等の聖域を。無関係な私が踏み入ってはいけない場所。それと同じように、そう簡単に彼等に私の聖域は踏ませない。無断で入らせることもしない。見学なら許すよ?だけどいきなり入ってくるのは許さない。それが兵助相手でも。
「お、ちゃん。」
「ハロー、筧ちゃん。」
「やん、一也ちゃんって呼んでvv」
「筧ちゃん。」
「設楽ならあっこだよ〜?」
フェンス近くに寄ってきた筧君が兵助を指差して入らないの?と薦めてくる。うん、入りたいけどね?近付きたいけどね?でも駄目だよ。だって今私は私の聖域にいるから。ああ、正装してこなきゃ良かったなんて思ったのは内緒。
「うん、でもこの格好だしねぇ。」
「ねぇ、可愛いvv」
「ありがとう!!」
「筧〜、お、じゃん。見てた?」
「見てたよ、鳴海がずっこけたとこ。」
「・・・・・・」
筧君と話してたら鳴海が気付いて寄ってきた。後ろで呆れてる友人によう、と名前を呼んで手を上げる。友人も(ああ、ちなみに名前はちゃん)よう、と些か男らしく返事を返した。これは私達の挨拶。いつものこと。
「部活は?」
「休憩中!!」
「おー、じゃあ飯一緒に食う?」
「グラウンドじゃなければね。」
「なっ、るみ!!かっけい!!何してんの!!」
「おやん、ワンコ君のご登場だ。」
「筧ちゃん、誰やね?」
「武蔵森の藤代。知ってる?」
「・・・・・・・・・」
「知らない。っと。」
鳴海に近寄った犬みたいな人がこちらに迫ってくる。ちゃんがかなり不機嫌だ。
「誰誰??可愛いvv袴姿!!!」
「あれ、そこなの?君。」
「俺、藤代誠二!!宜しくvv」
「やだ。」
「ひでぇ!!」
ガンッ!!!
「!!」
「兵助!!」
「お前!!その格好でくんなよ!!来てたなら声かけろ!!飯は?一緒に食う?」
「すげぇ、設楽が慌ててる。」
「やるぅ、ちゃん。」
「?、?」
真面目な顔で、真面目な目線で私を見る兵助。じっと見返すと、どうしたと首をかしげる。返事がないのが不安なのかそれとも・・・。どっちでも良いか。
「兵助、大好きvv」
「は?当たり前じゃん。」
サッカーだけに向けていた一途で真剣なその目線、一心に浴びれる人が私で良かったと思う昼下がり。
―おまけー
「いきなり告白大会!!??」
「いや、こいつら明星きってのバカップルだから。」
「設楽の彼女!!??」
「一番『ガールフレンド』って言う言葉が似合うんだよねぇ。」
「青春よねぇ。ほんと鬱陶しいんだけどね、視線とか視線とかハートとか視線とか・・・」
(08.09.28)
(二の腕だ。)(生足だ。)
(袴姿、いいな。)(ユニフォームだなぁ。)
(・・・・・・)(・・・・・・)
((誰にも見せたくないかも。))