「土曜日暇?」
「部活あり。」
「「・・・・・・」」
集中するあなたの目線
「残念だけどちょっとほっとしてるシタラン君。真面目にアップしなさい。」
「キャプテン・・・」
部活始めに、休み時間にあったことを隣でアップしてる筧に聞かれたから話したらからかわれた。部活サボってデートの約束とは、恐れ入るよ。あ、お土産宜しく。って・・・それがキャプテンじきじきの言葉か?暗にデートして来いって言ってるじゃん。それにデートじゃないんだけど・・・。土曜日ってあたりで気付いてくれませんか?
「で、ちゃんの反応は?」
「訳分からずって感じ。」
「暇だって答えて貰いたかったの?」
「微妙・・・」
ちょっと落ち込んだ土曜日当日。つーかなんでいるんだよ!!部活中じゃなかったんですか!!(思わず敬語)
「!!」
「兵助!!」
「お前!!その格好でくんなよ!!来てたなら声かけろ!!飯は?一緒に食う?」
白と黒の袴姿。が弓道部なのは知っている。その姿良いなって思ったこともある。けどさ、こんな人(しかも武蔵森)がいるとこでその格好で来るなよ。何よりなんで俺に声かけないんだよ。ああ、そういや飯どうすんだろ。思ったことが全て声に出ていたり・・・。やべぇ。
じっと俺の顔を見上げる。どうした、と覗き込むと、にっこりと笑って、爆弾発言をかましていく。
「兵助、大好きvv」
「は?当たり前じゃん。」
なにを今更。・・・・・・駄目だ、俺もこいつに感化されてる。それでなんでこんなことになってんだ?
「へぇ、あれが設楽の彼女ねぇ。」
「袴姿可愛いvv」
「今から何をやるんだ?」
「さぁ?とりあえず見ていってください。と・・・」
俺ら(明星のサッカー部と武蔵森のサッカー部)がいる場所は何故か弓道場。明星は弓道の施設が整ってる学校ってことで密かに知られているらしい。そりゃそうだよな、普通、こんな立派な弓道場なんてないよな。それもこれも、弓道部が強いってことなんだろうけど。だからって、これはないだろ。
「、マジでやんの?」
「うやぁ・・・観客一杯・・・」
「聴いてる?」
「だって!!桂木ちゃんには色々とお世話に・・・」
ちなみに桂木って言うのは、明星の社会科教師だ。何をお世話になってるんだか・・・、そういやテストどうのって言ってたような。
事の発端は桂木の言葉。
『俺の客人が是非ともの弓を見たいって言うんだよ。』
『丁度良い、ちょっとあれやれ、あれ。ビデオとる。』
と西山田。あれってあれだ。弓道場の一番端にあるなっがい場所。前聴いたら、確か60mだとか言ってた。弓道をやらないから分からないけど、それって女子には難しいんじゃねぇの?
じっと60m先にある的を見ているの顔を覗き込んで、大丈夫かと聴く。けど聞こえていなかったようで、俺の声に気付くことなくただ集中したの眼とかち合った。完全に集中したに今の俺はいない。それが悲しいと思った。
「―、良いか〜?」
「はぁぁい。」
短時間の集中を終えたのか、ふぅと息を吐いたがあまりやる気なさげに返事を返し、俺と目を合わせた。じっと見上げてくる目線から外すことはない。
「うん、頑張ります!!!」
「おー・・・」
気合を入れなおしたが俺から離れて西山田の下に小走りに歩いていく。自分の弓を持って張られていた弦を別の物に張り替えていた。
「シタラーン、寂しそうだよぉ。」
「キャプテンって、神出鬼没〜。」
「あらら、つまらない。」
俺のよりも背の低い筧が満面の笑みで的を見ている。しっかし遠いなぁ、とか愚痴を零している。
弦を張り替えたが所定の位置に付いた。こちら(桂木の客人)に向かって一礼してから弓を構える。
「センセー、一発目外しまーす。」
「おー。」
足を肩幅に開いて弓を的目掛けて突き出す。その弓に持っていた矢を宛がって、ゆっくりと弦ごと矢を引く。眼は真剣に60m先の的を狙う。ただ真っ直ぐその的を狙っていて、背筋が駆け上がるほど強烈に集中する目線。
呼吸でぶれないよう、最小限に抑えた呼吸がふと消える。瞬間、弦に打ち出された矢は真っ直ぐ的を目掛けて飛んでいった。
「足りない。」
その呟きを聴いたのは誰だったか。しかし比較的近い場所にいた俺には聞こえた。言葉の通り、矢は的の前で減速しそのまますっと地面に落ちる。後ろからあーあ、と溜息が聞こえるがは気にしていない。
「次、ど真ん中。」
「よし。」
先程の行為を再度繰り返す。構えた弓矢の周りに纏わさるのは痛いほどの静寂と緊張。誰も声もなく音もなくただその様子を見ているだけ。が弦を離した瞬間、木霊する弦が風を切る音。弓を倒したの奥に見えたのは、
タンッ――――
心地好い余韻を響かせて宣言通りど真ん中に命中した、の矢。はそれを嬉しそうに眺めた後、最後こちらを向いて一礼した。その瞬間、盛大な拍手で迎えられる。
「うぉーう!!!」
その拍手に驚く姿に思わず苦笑が漏れた。らしいなと考えたから。
まず始めに藤代が行った。すげーと叫びながらに抱きついた。体格の違うがこけそうになるのを笠井が藤代を殴ってなんとか止めさせる。その後に行ったのは鳴海と三上。その後に筧と話していた渋沢。それに続くように両校のサッカー部が一斉にを取り巻くように集まる。俺はまるで蚊帳の外。
「あらぁーん?行かないの?設楽。」
「いいんだよ。」
「?」
「の聖域に俺、入ってけねーし。」
「・・・・・」
だってあそこはの聖域で大切な場所。俺にとってのサッカーグラウンドがそうなように、あいつにとってはあの的を射抜くためのあの位置がそうなはず。しいて言うならこの道場全体が。隣での友人が「まったく」と溜息をついたのが聞こえる。
「あー?」
「あんた達、そっくりカップル。」
「は?」
「も同じこと言ってたのよー。サッカー場は設楽の聖域だから入れない。って」
「・・・」
「愛されてるわねぇ。」
「・・・俺が愛してるし。」
「死ね、バカップル」
そう言ってそいつ(名前は確か)はの下に小走りに寄っていく。その様子を黙ってみてる俺、ふとがこっちを向いた。
「兵助!!!」
に助けられたのか輪の中から脱出したが逃げるように俺に近寄ってくる。真っ直ぐと俺だけを見るに暫しの優越感。単純な自分に笑いたくなった。だから近寄ってきたを腕の中に閉じ込めて、顔を向けた奴等に一言。
「これ、俺のだから手、出さないで。(特に三上)」
的を射抜くその一途なまでの真剣な目線、一心に浴びれる優越感を感じた昼下がり。
―おまけー
「へ、兵助?」
「何?」
「風邪っすか?言動が可笑しいよ!!?」(額に手をやり)
「リミッター外してみようかと・・・」(とりあえずぎゅっと。)
「はぇ??」
「俺、独占欲強いから。」
「???」
「出した奴、完膚なきまでに潰す。」
『(客人いるのにいちゃつくなよお前等・・・)』(明星の皆様)
(08.09.28)
(兵助さん。)(何?)
(皆見てます。)(見てるなぁ・・・)
(・・・・・・)(・・・・・・)
((まぁ、いっか。幸せだし。))